〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 少しうとうとしていたら、

「にゃー。」

「んっ、ミラン。」

 ソファーの下で鳴いている。
 かまってほしいのか。

「仕方ないね。」

 そう言って、ミランに微笑む。
 普通に座る姿勢に直し、ミランを持ち上げ、膝の上に置く。

「もうどうしたのよ。」

 珠理はミランの前では性格が変わるんだよな。

 背中をなでたり、首の皮膚をつまんだり(ちなみに猫は首に皮下脂肪が多く、皮膚をつまんだだけでは死なない。)、話しかけたり・・・。


「もうね、今、監督に期待されているの。
 すごいプレッシャーなんですけど。」

 ミランは何も答えない。
 でも、言って少しすっきりした。

「剛溜が帰ってきて、その翌日に試合だよ。つまり、あさってだな。
 予選リーグは突破したから、一発勝負のトーナメントだよ。」

 。

 城崎ドルフィンガールズは、一グループ五チーム、合計八グループ、各グループの二位以上が決勝トーナメントに進出するグループリーグを、二位で通過した。


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