〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ベンチからまっすぐ進んだ先で、先発メンバーが円陣を組んで、

「いくぞ~!」

『は~い。』

「城崎~ドルフィ~ン、今日も~。」

『頑張るぞ~、おー。』

 キャプテンの絆だけではなく、チーム全員の声に気合が込められている。

 ハイタッチも力強い。

 今日が、三年生にとって中学生時代最後の公式戦にしたくないから。
 一日でも多く、三年生と一緒に試合したい。

 そんな思いが、チーム一人一人から伝わってくる。


――ミツヤさんたちがいなくなるのはなぁ。
   尊敬する先輩がいなくなったら、うちらどうなるのかな?――

 三年生がいなくなったチームを想像していたら、

「ジュジュ、絶対諦めないでよ。」

「キョーコこそ。」

 お互い笑う。他のチームメートは、試合モードで怖い顔になっている中で浮いて見える。

 笑っている間に、相手のキックオフで始めることが決まった。

 コートの中にいる選手は皆、それぞれの位置につく。

 笛が鳴るのを待つ。




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