〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ぴぃー~♪

 試合開始。ボールを蹴ることによって、試合が始まった。

 一進一退の攻防が続く。

 時間だけが無駄に過ぎていく。

 ボール支配率は多分、ドルフィンガールズのほうが高いと思う。

 シュート数も相手の二倍はある。

 なのに、なぜか決まらない。


「どんまい、どんまい、落ち着いて。」

 最初のうちは、珠理の励ましの声は元気良かったが、次第に元気なくなる。

 相手もシュートが決まらない状況だ。

 両チームともにストレスが溜まり始める。


 前半十分。

 すみれが、誰にボールを裁こうか少し躊躇してたら、相手に取られた。 

 取った選手はスピードがあって、ドリブルセンスがあるのか、珠理の味方を一人、また一人と抜かしていく。
 抜かされて追いかけても、なかなか追いつかない。

 梗子とあかりが囲んでも、見事に振り切った。

 もはや、城崎ドルフィンガールズは珠理しかゴールを守ることができない。


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