〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 珠理がゴール前に立った時には、もう相手はボールを置いていた。
 今は、審判の笛を待っている。

 珠理は膝を少し曲げ、構えた。

 相手はボールから少し後ろへ下がる。

 ぴぃ~♪

 相手が蹴った。

 蹴った瞬間、どっちへボールがいくか、迷うことなく分かった。


――こっちだ!――

 両手をうんと伸ばし、迫ってくるボールを取ろうとする。

 取れないなら、せめてはじいて。

 
 ボールが当たった感覚が脳に伝わってから、意識が飛んだ。

 気がついたら、珠理は倒れていた。

「ジュジュ、やった!!」

 味方は皆、叫んで喜んでいる。

 ボールは、サイドラインの方へ転がっている。


――止めたんだ。――

 嬉しさがこみあげてくる。

 PKを止めるのは相当難しい。
 公式戦で、珠理がPKを止めたのは・・・ほんの数回あるかないか。

 小さくガッツポーズする。

 と同時に、勝てる気がしてきた。

 このPK戦勝てるかもしれない。

 そう思えてくる。


 珠理はコートにいるチームメート全員とハイタッチする。

 なんだか、勝てるじゃなくて、勝つ。そう思えてきた。



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