〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ボールをひたすら見つめる。

 十メートル先にある、ボールを止めるんだ。
 いや、今すぐ、ゴールを捨てて走り、ボールを奪いたい!

 でも、ルールに従わなきゃいけない。
 蹴ったあとに反応しないと。

 ドルフィンガールズ全員が祈っている。


――お願い、止めて!――

 言葉にしなくても、珠理には分かる。
 分かるというより、プレッシャーを感じる。


――負けるなんて嫌だ!!――

 歯を食いしばり、ひたすらボールを見つめ、集中力を高める。
 食いしばっているときの感覚は、もう分からない。


 ぴぃ~♪

 相手が蹴った。


――こっちだ!!――

 蹴って一秒も、いや零点五秒も経たないうちに、ボールが飛んでいる方向が分かった。

 もう少し経って、予想が当たったと分かった。

 ボールは珠理が倒れている方向へ飛んでいる。

 ボールが迫るくる。

 迫ってくる・・・。


――止まれ~~!!――





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