〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「やったーー!」

 珠理は意識が戻る。

 周りをきょろきょろ見回すと、相手は喜んでいる。

 チームメートは落ち込んでいる。

 これは・・・


 負けたんだ。

 止められなかったんだ。

 ふと後ろを振り返れば、ゴールの中にボールがある。

 方向はあっていたが、わずかな差で入れられてしまったんだ。

 涙は出てこない。

 ただ、虚しさ、悲しさがこみあげてくる。
 立ち上がることができない。


 チーム全員が珠理のもとに駆け寄ってきた。

「本当にごめんなさい。私が決められなかったから・・・。」

 未撫が泣き出した。

「そんなことないって。」
「すみれにも原因あったし。」

「うちが、決められなかったし、止められなかったから・・・。」

「ごめんね、ジュジュに苦しい思いさせちゃって。」

 みんなで慰めても、未撫と珠理とみずきにある罪悪感は取れない。

 珠理は涙が出てこないが、声が出ない、暗い表情。
 未撫と爽は大泣き。

 珠理にとって、夏が終わったような感じがした。もう、冬になったような気がした。
 まだ、暑い日は続くのに。



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