〔完〕 うち、なでしこになるんだから



「えぇ・・・。これの答えは・・・。」

 答えっと言うと妙に声が大きくなる、この数学の先生。
 これで珠理の頭は目を覚ました。

 続いて目を開け、顔を上げた。
 目の前には白のYシャツと、女子だけが着る紺色のベストがずらり。


――夢か。やっぱり。――

 すっかり寝てしまっていた。

 慌てて、教科書とノートを見て。黒板見て。
 時計を見て、計算したら二十分ぐらいは寝てた。

 授業はそこまで進んでいないから、まあ、大丈夫か。


 再び顔を上げた。

 あっ、源希に目が付いてしまった。

 思いっ切り、体を横方向に揺らしてるし。隣の席に座っている人は、嫌な思いをしているのだろう。

 珠理の席からだと、源希の背中しか見えない。

 たぶん、不機嫌な顔で授業受けていると思う。彼は勉強が大っ嫌いだから。

 って、よくよく見たらイヤホンして音楽聞いている。

 音楽にのって、体を揺らているかもしれない。

 




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