〔完〕　うち、なでしこになるんだから
　そんな様子を一番後ろで見ながら、珠理はいつでもシュートが来てもいいように構えている。シュートが来そうになって、やっと構えているともう遅いから。

　
――この時はこうで・・・。――

　いろんなシュートパターンの対応をイメージする。
　
　時々試合の様子を見ながら。


　南良能から絆へパスを送った。

　絆の近くにいた万由が気付く。


――これ、いける。――

　絆へのパスを、足を伸ばして、ボールに触ったらひっこめ、万由の足元に収める。

　インターセプトだ。

　その瞬間、これまで漂っていたゆるい雰囲気が、一気にきつくなった。

「ごめん。」

　南良能、謝っている暇はない。

　万由は希望にパスをする。そのままドリブルで前へ、前へ、珠理が守っているゴールに向かって攻める。
　
　センターラインから珠理側に、三人味方がいる。

　そのことを承知のうえ、珠理はボールに対して位置を取る。

　珠理とボールの距離はまだあるが、いつでもシュート来い！珠理との一対一来い！という気迫に満ちている。

　



　
< 68 / 213 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop