Wild Rock


 マリアは傷を治してもらいながら、屋敷に向かって叫ぶ。

「高見の見物も、もう終わりだ! 出てきな!!」

 空薬莢を捨て、一つずつ装填しながら相手が出て来るのを待った。


 しん、っと静まり返った広大な庭に、月明かりに照らされて現れたのは、ナエルただ一人。

 拍手をしながら、笑顔でマリアを讃えた。

「貴女様のお力、拝見させていただきました。いやぁ、なかなかお強いですねぇ」

 三人はマリアを守るように囲む。

「どういうことなの?」

「お前達は、アフタヌーンティーの時から操られていたんだ。あいつの出したデザートやら紅茶の中に、何か入れられていたんじゃないのか?」

 三人はその言葉を聞き、あの時のマリアの取った行動は、ただ腹の虫の居所が悪かったのではなく、何か入っているぞと伝えたかったのが今理解できた。

 
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