Wild Rock


 今回はそれ相応の処置を施してきているため、心配はいらない。

 成り立ての修行の旅は例外とされているが、あまり長い旅は教会からの警告がやってくるので、あまりしない者の方が多いという。

「南のマリアの力は、今の四人の中でも最強だという噂で聞いていた。それが一番に殺られるなんてな…」

 タバコに火を点け、紫煙を吐きながらブレスレットを見つめた。

「あなたはアタシ達が必ず守るわ」

 少し太い声で言われ、マリアは鼻で笑って紫煙を吐いた。

「お前達に守られなくても、自分の身は自分で守る。今までも、そしてこれからもな」

 タバコを消し、視線を湖に向けて銃を構える。
 ファブニルも何事かと思ったが、微かに何かを感じ取った。
「出てこい! 魔族臭いんだよ!」

 泉に数発撃ち込むと、水柱を上げながら出てきたのは、美しい容姿の人魚。

 耳が痛いくらいの鳴き声を出し、四人は耳を押さえて片膝ついた。

[よくわかったわね? 我が名はケルピー。命が惜しければ証をおよこし!]

 
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