Wild Rock
「こちらの声は聞こえても、ルーシュ様の声はこちらには聞こえませんの。さあルーシュ様、一緒に帰りましょ?」
シャボン玉に抱き着くと、ルーシュは泣きながら首を横に振る。
「どおしてそんなに嫌がりますの~? 私、何もしませんわよ?」
そう言っても、ルーシュは背を向けて号泣している。
こんなに号泣するということは、昔何かあったとしか考えようがない。
「お前、何かしたんじゃないのか? この脅え用は尋常じゃないぞ」
しかめっ面になりながらパイモンに目をやると、しばらく考え込みながら答えた。
「ひょっとして、パーティーの時に媚薬を入れたことまだ怒ってらっしゃるの? それとも、夜ばいに行って動けないように鎖で繋いだことを怒ってらっしゃるの? それから…」
マリアは開いた口が塞がらないほど呆れていた。
一夜の寵愛が欲しくてそこまでするのも珍しい。
いやむしろあっぱれとしか言いようがない。