Wild Rock


 指輪を見つめながら、握る手に力を込めた。

「この先、どんなことがあろうと、貴女は自分の身を守り抜きなさい!」


 そうしてあたしは誰にも見送られることなく、一人、旅に出た。


 シスターは人は殺さないと言うが、あたしは身を守るため、何人もの人間を殺し、悪魔を殺し、血生臭いと罵られようとも、あたしはあたしだけを信じて生きてきた。

 主など、神など、そんなものはいない。

 何の役にも立たない。

 そんなときだった。


 なんだか懐かしく、心が締め付けられるような、うるさいくらいの『声』を聞くようになったのは……。








 
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