Wild Rock


 木漏れ日の指す森の中を四人は歩いていた。

 最近の異常気象のせいでしばらく足止めをくらっていたから、久々の旅だ。

「なあ~んか暇だよな? 前までせっせと来てくれた奴らが来ないって、切なくね?」

 タバコをくわえながらため息をつくと、ファブニルは眉を吊り上げながらつっこんだ。

「て、敵さんにそんな感情抱かれても、アタシ困るわ…」

【あら? 恋しいと思ってくれるだなんて、冥利につきるわ】

 どこからともなく声だけが聞こえてくる。

 三人はマリアを囲むように、それぞれの武器を構えた。

 気配を探るが、歪んだ空間からの接触なため、どこにいるかわからない。

【安心して。今あなたたちをどうこうする気はないわ】

 すると、空から一通の手紙がヒラヒラと落ちてきた。

【招待状よ。ここからそう離れていない都市だから、二日ほどで着くはずよ】

 クスクスと笑いの響く空を見上げ、ファブニルは手紙を拾い上げた。

 罠だろうが何だろうが、売られたケンカは買う主義の四人組。

 指定された都市まで楽しもうと、歩きはじめた。


 
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