Wild Rock
マリアとフェンリルの前には、灰皿とジッポが置かれた。
「アフタヌーンティをご用意致しますので、少々お待ち下さい」
ナエルが部屋から出ていくと、マリアは背もたれにもたれながら、疲れたため息をついた。
だが他の三人は感嘆の甘いため息をついている。
これにはマリアも驚きを隠せず、目を丸くしていた。
「かっっっこい~っ! アタシあんな男に抱かれたいわっ!」
ファブニルは色々と妄想を巡らせながら悶えていた。
「いやマジで。俺女だけしか抱けないと思ってたけど、ありゃ女以上だぜ」
「俺、何かドキドキする…」
男までも魅了してしまうほどのバトラー、ナエル。
マリアは頭を掻きながらタバコを取り出すと、先程ナエルに口づけされた手の甲に口紅の跡が付いていた。
男のクセに口紅付けてんじゃねぇよ、と思いながら背筋を凍らせた。
「お待たせ致しました。本日の紅茶はアールグレイ。デザートはアプリコットとグリーンティーのミルフィーユでございます」
ティーポットからカップへ紅茶を入れながら、更に言葉を続けた。