クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


「…えっと…じゃあ甘えちゃおうかな」




伊吹先輩って、あたしの山田くんに対しての気持ち知ってるよね?


知ってて、あたしの目の前で山田くんに笑い掛けるの?頬染めるの?



ニッコリ笑う伊吹先輩の笑顔が、こんなに腹立たしかったのは初めてだ。





横では美喜ちゃんが、今にも伊吹先輩に殴りかかりそうな勢い。


あたしはこの空間に居たくなくて。

鞄を手に立ち上がると、美喜ちゃんの腕を引っ張り歩き出した。




「あっ…柚希ちゃん!?」


「あたしも帰ります。松川くんが送ってくれるので安心です♪」



それだけ言い、呆然と立ち尽くす山田くんの横を通り過ぎた。


作り笑顔なんて、人に向かって初めて向けたよ。



目は見ないよ。

見たらきっと、泣いてしまう。


声は掛けないよ。

掛けたらきっと、酷い事を言ってしまう。



あたしって、勘が良いみたい。


予想的中。おめでとさん。




“山田くんは伊吹先輩が好き。”










< 86 / 401 >

この作品をシェア

pagetop