Level 36.

3.


 女将が静かに襖を閉めると途端に緊張が増して
 息を飲む音まで聞こえそうな静寂。

 放っておくとどんどん空気が重くなるに違いない。
 沈黙に耐え切れずに悠希が口を開いた。



「あの、院長っっ。 お話って… 何でしょうか?」



 こんなお店にまで連れて来て話したい事って何ですか。
 思い切って聞いてみた。



「え? 俺、話があるって言ったっけ?」



 鬼の柴田が豆鉄砲を喰らっている。

 ……え?????

 そういえば……。
 話があるとは、言われてない? かも…。

 今夜、予定があるかと聞かれただけだった。



「言ってない。 よな?」



 はい。 と返事をする代わりに頷いた。



「ただ飯食おうって意味で誘っただけ、だけど?」 


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