Level 36.

「それじゃあ、お飲み物は如何致しましょうか?」



 自分が笑われた恥ずかしさも忘れて
 初めて見た柴田の大きな笑顔に引き込まれそうになった。

 思考力は完全にダウンして
 いつも何を飲んでいたのかさえ咄嗟に思い出せない。



「ああ、俺は車だからいつもの。 で、こいつは…、梅酒でいいか?」



 あー、それです、それが言いたかったんです!
 と言わんばかりに何度も頷き「はい」と言うだけで精一杯。


 普段は冷静で少々の事ではテンパらない悠希も
 一回りも年上の柴田と、それに近いであろう女将の前では
 まだまだ経験値が低い事を思い知って、戦意もダウンした。


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