神様修行はじめます!
「ねえ、絹糸」

「なんじゃ?」

「さっきまで部屋に誰かがいなかった?」


誰かが、あたしの傍についていてくれたんじゃない?



「・・・・・・・知らぬ」



絹糸はそう言ってまた、沈黙して庭を眺める。


あたしも黙ったまま絹糸の背中を撫で続けた。

そして、庭を見る。



行き交う蛍火。

ほのかな色彩。

暗闇の中、絵巻物のように広がる暖色。



あたしは、さっきの冷たい指がそうしてくれていたように

いつまでも絹糸の背中を撫で続けた・・・。




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