神様修行はじめます!
「綺麗だね」

「そうか?」

「すごく綺麗」

「我は見慣れておるのでな」


そう言う絹糸の姿を、改めて見てみた。

青白い毛並みが艶やかな光沢を放っている。

まるで宝石の糸のよう。


「あんたの毛並みもすごく綺麗」

「うむ?」

「本当に絹糸みたい」

「・・・・・」


あたしは絹糸の背中を撫でた。

うわぁ・・・すごいっ。

なんてなめらかで柔らかいんだろう。

うっとりするほど心地良い感触。



「いつまでも触っていたいよ」

「ふっ・・・」

「なに? あたし何か変な事言った?」

「いや、少し以前、同じ事を言っていた奴がおってな」

「ふうん?」

「そやつも飽くこと無く、我の背を撫でておった」

「その人は?」

「・・・・・」


絹糸は沈黙した。

そして


「とうに、あちらに逝った」


とだけ答えた。
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