横で眠る「あなた」【未完】
第100章
とんでもなく、白けた雰囲気で、歓迎会は終わった。

そして、私は、怒りでほとんど眠る事も、できなかった。

始発に乗って、理先輩のアパートを訪ねた。

朝早く訪ねて迷惑だろうとは、思ったけれど、歓迎会での発言は、理先輩が悪いと思ったから、時間を気にしてはいられなかった。

理先輩の部屋のインターホンのチャイムを、鳴らすと理先輩が現れた。

私の顔を見ると、中に入るように促した。

玄関には、理先輩の靴以外はなかったので、他に人はいないようだった。
昨夜の歓迎会後は、さすがに誰も泊まっていかなかったようだ。

理先輩の家での飲み会だと、いつもなら、男女問わず誰かが泊まっている話を聞いているのに。

女の子は、引き返して、泊まりに来るという話も聞いた。

それでも、さすがに昨夜は、誰も理先輩の傍にいられなかったんだと思った。

理先輩は「朝早くからどうしたの?」と聞いて来た。
私は「昨夜の飲み会での理先輩の発言に怒ってます。 そのことを言いにきました。」と言った。

「僕の発言?」と理先輩は、トボケタような事を言った。

「伊集院は、うちみたいな大学からは学生は取らない。とか自分は使う側だとかです。」と言うと「でも、間違ってないよ。」と理先輩は言った。

「確かに、間違ってません。でも、あんな風に突然言い出す必要は、ないと思います。」と私は言った。

そして、「しかも、自分に関わるなら身の危険が起きるかもしれない事を、覚悟して欲しいなんて、脅しじゃないですか? あんな事言われたら、多くの人が、理先輩の傍にいられなくなります。 
昨夜来ていた人たちは、理先輩と仲良くなりたいと思っていたのに、難しくさせたのは、理先輩自身です。」と言った。

すると、理先輩は、「でも、きみはこうやって、怒りに来てくれたじゃないか。関わろうとしてくれてるじゃないか。」と言った。

「僕は、きみがこうして怒ってくれて、関わってくれるなら、他のヤツらが、全員離れて行っても、関係ない。」と理先輩は言った。

理先輩の言葉に、正直言って頭を抱えた。
私は、そんな「深い思い」があって、文句を言いに来たわけじゃなかったからだ。

私としては、みんな理先輩と仲良くしたいと思っているのに、理先輩から必要以上に突き放すような事は言わない方がいいと思った。


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