横で眠る「あなた」【未完】
第32章
恋人同志になって迎えるクリスマス。

ロマンチックなクリスマスも、少しだけ期待してた。

私の生まれ育った環境は、父はお寺の息子で仏教学部出身で在家だけど僧籍がある。母もお寺の娘。周囲を見渡しても、叔父もお坊さん。祖父もお坊さん。

従姉弟たちも、みんな、同じ仏教系の私立に通っている。

私だけが、母が気に入った仏教系ではないこの学校に、中等部から入学した。
しかし、それは周囲からの反発をかなり招く結果になった。
母は気にしていないようだけど。

こんな環境の為、今までクリスマスを祝った事はない。
そんな私は初めてクリスマスをロマンチックに過ごしたいと思っていた。

しかし、残念なことにそうはうまくはいかなかった。
理先輩は「この時期は、アメリカにいる叔母のところに毎年行っているんだ。」とこともなげに言った。

私と理先輩の「クリスマス」への温度差を痛感してしまった。
「気をつけてね。」とこれ以上は、言えなくなった。
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