牙龍−元姫−



遼は珍しく二人の輪には入らずに蒼が突っ立っている横に移動。



「どうかした?」



あえて意味深な視線には触れず蒼にいつも道理の笑みを見せる、極自然に。




「別に?何もね〜よ。俺も遼とムキムキになろうじゃねえの」

「蒼にはブラック珈琲買ってきたよ」

「はあ?オイ庵。何で蒼は【元気のミナモト☆これで君もムキムキだ!】じゃないんだよ!」

「だって普通に蒼がムキムキとか嫌だよね?」

「………俺が悪かった」




遼はそんな蒼を想像したのか、あっさり納得した。これは本音。ムキムキな蒼なんて見たくないよ。――――――――遼。顔色悪いけど大丈夫?なに想像したの。





「オメエら失礼にも程があるじゃね〜か。ん?そんなにお仕置きして欲しいのかよ?」

「バカ野郎!俺にそっちの趣味なんざねえよ!お仕置きなら空にしとけよ。妥当だろ?」

「――――――はあああ!?な、なに言ってんだよ!俺だってそっちの趣味はねえし!」




遼はからかうなら空にしろと、空を指を指した。遼と蒼の会話を聞いて割り込んできたのはスナック菓子の袋を片手に持った空。
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