牙龍−元姫−

チュウリップ











女の子って不思議…




綺麗になるために努力する



Q'それは誰の為?


A'好きな人の為。




ファッション雑誌を買い漁り読み捲る。メイク用品に注ぎ込むお金は底なし。季節毎に出る新作ファッションを求め買い込む服は数知れず。




『細く細く細く細く。もっと細くなりたい。まだ痩せなきゃ駄目』―――――――暗示掛かったような過度のダイエットで体調を壊し最終的に拒食症。




そんな友達を見て単純に凄いとばかり思った。何もその友達だけじゃない。他の子達も同じだった。いつも私はその異常な光景を1歩後ろから眺めていた。こんな考え方をする私が"異常"なのかもしれないけど。




それは女の子故の宿命的なものなのだろうか?




常に努力を惜しまず自分が輝けるように研究し道を切り開く。




―…ただ純粋に尊敬した。




努力家な彼女を。




いつも明るくて元気で笑顔を絶やさない彼女は私の憧れでもあった。しかし何時しか彼女はダイエットと言うものを履き違え始めていた。綺麗になるために始めたダイエットが何時しかタダ"痩せる"事が目的となっていた。直向きな態度でダイエットに取り組む彼女は凄い。だけど自分を見失ってまで過度の減量を続ける彼女を見過ごす事なんて出来なかった。




ダイエットで肌が荒れガサガサ。綺麗に着飾るための化粧が不眠症になり隈を貸すための化粧に用いられる。ご飯を口に運ぶのを拒否し飲み物も水だけ。




だから一言。



「もう止めたら?」



そう言ってしまった。




今のままでも充分すぎる魅力があるのに……




そう思った私。




だから何も考えずにそれを友達に向かって口に言葉にして発した。ただ心配だった。ぼろぼろになる友達をみているのが辛かっただけなのに……




(神様は意地悪だ)




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