牙龍−元姫−






「――…えと。ごめん、ね?」





首を傾げながら謝ってくる響子。可愛い。だけど―――――――――――――可愛いからって何でも許されると思ったら大間違いよ。





「……響子」

「り、里桜…」

「……私の言ってたこと覚えてる?」

「う、うん…」




情けない声で私の名前を呼び許しを乞う響子。



私――――風見里桜は今、かなりぶちギレている。スゴい目付きに違いない。響子が脅えるのも無理はないと思う。だけどね?響子が悪いのよ。





「……あれほど関わるなって言ったわよね?」

「うん」

「『うん』じゃないッッ!」

「やっ、里桜怖いっ、」





ガタッと椅子から立ち上がった私を見ると、響子は頭の上で両手を交差させ何かから身を護るようにする。端から見れば完璧わたしが悪者。響子を虐める加害者だ。



教室に居る生徒がわたしを指差し冷やかな眼差しで見てくる。どこか軽蔑されている。大方弱い者を虐める最低な女という見方。





〜〜〜ッ鬱陶しい!どうして私がそんな目で見られないとイケないの!?張り倒すわよアンタ等!



そう念を込めて睨めば顔を青くさせ一瞬にして目を反らした生徒。フン、黙って私に平伏しておけばそれでいいのよ。
< 33 / 776 >

この作品をシェア

pagetop