牙龍−元姫−
「皆に裏切り者だと責めるような目で見られたとき、心のどこかで“やっぱり”って思ったの」
伏せめがちに響子ちゃんは言う。
語られる心情に少年等は耳を澄まして聞いている。
「私の言い分さえ聞いてくれない皆にすんなり納得したよ」
耐えてきたことを吐き出す。膝に置かれた手が花柄のスカートを掴む。
桃色が顔を歪めたのを捕らえた。いまにでも反論しそうじゃが堪えているのが分かった。
“だって、もともと…”
響子ちゃんは躊躇いながら呟いた。
「私は、部外者だから」
――…やっと聞けた彼女の本音。しかしその声色は切なかった。
それが皮切りのように桃色は叫ぶ。
「ちげえよ!なに言ってんだよ!意味わかんねえこと言うなよ!?響子は俺達の仲間じゃん!」
「…でも私を裏切り者にしたのは空達だよ」
「…ッ」
そうじゃな“仲間”を裏切り者にしたのは――――桃色、お前さんらじゃよ。
「責めるわけじゃない。だけど―――…裏切り者扱いされるなんて思わなかったよ」
自嘲的に笑う少女の姿が酷く痛々しかった。
…何やっとんじゃお前さん等は。なんでこんな子を裏切り者に仕立てあげとるんじゃ。
いまにでも消えそうなくらい儚いのう…。