牙龍−元姫−






「…っ…っわ、わたしが欲張りすぎたのかなって…」





涙に暮れながらも想いを言葉に乗せる。





「皆を愛したいし、愛されたいって…っ…」





啜り泣く声が空気を揺らす。



切ないのは此方の方じゃ。



響子ちゃんは皆が好きじゃったから愛を捧げ、愛を受け取りたかった。



極々自然の事じゃ。



欲張りなんてそんなわけなかろう。


じゃが響子ちゃんはそう思わなかったみたいじゃ。





「愛想、尽かされたのかと思って…っ」





―――そんな筈あるわけない。



愛想が尽き果てるなんてあるわけがない。そう少年等の顔には書かれている。



いま涙ながらに語る少女。



いつも可憐に笑っていた少女を追い詰めたのは自分達だ、とばかり顔を歪めている。



何と声を掛ければ正解なのか分からない。



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