牙龍−元姫−








第一、彼らがまだ高校生だとは思えない。



こんなに顔が整った人もオーラが凄まじい人も見たことがない。



生まれながらのカリスマ性ってヤツなのかしら?



私の隣に住んでいた同い年の男の子ははな垂れ小僧だったのに。川でザリガニ取りとかしていたのよ?バイクをワイルドに乗り回したりなんてしてなかったわ…。



それは野々宮響子さんも同じ。



“童話から飛び出しました!”みたいな女の子には初めて逢った。












そして大人顔負けの色気を振り撒く藍色の髪をした少年。



夫を持つ私でさえもクラッとキてしまう。果たして彼の色っぽさに胸を撃ち抜かれる女は何人いるだろうか。





「お〜。言い忘れてた」





そんな少年が不意になにかを思い出したらしくキャンディの棒を弄りながら言う。



黄色の飴…パイナップル味かな?それともレモン味?





「オメエら頑張ってね?遼と勝負してっから」





“遼”と恐らくは3Cの主導権を握る加賀谷遼太君だろう。



彼らと同じ牙龍。3Dには大野空君もいる。それに橘寿々さんも。―――――――因みに3Dの担任の先生とは定期的に慰安食事会を開く仲でもある。



苦労が堪えないもの同士、親交が深く、日々仲が深まっている。





「勝負?確か34勝33敗だっけ?この前は宝くじの当たり数だったよね」





また?とでも言いたげな七瀬君。





「そうそう。あん時は俺が勝ったけどよ〜?負けたままだと引き下がれねえんだとよ。いや〜困ったちゃんだぜアイツはよ〜」

「前もそう言って蒼が勝負持ちかけたよね。大概蒼も困ったちゃんだよ」

「オイオイいーくん侵害じゃね〜の」





多分この“勝負”とやらはエンドレスなんだろうな。負けた方が次の勝負を持ちかけ、それに乗る。







「まあ。負けねえだろうからさっさと決めちまおうぜ?」





そう言う藍原君には納得した。



この華やかな面子が揃いに揃った3A。A組は強者揃いだからそう易々と負けないだろう。ハッキリ言うと負ける気は全くしない。



こういう面では3Aの担任でよかったー、なんて現金な事を思ってしまう。やはりやるからには優勝在るのみ。
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