牙龍−元姫−





「アイツは、」





言葉に耳を傾ける。自分でも驚くまでの集中力の高さ。



しかし、





『――――――』





静かに発された言葉に、キツく拳を握り締めた。



爪が掌に食い込み血が滲む。



遠回しに言うあの男に尚更苛々が募った。













―――――――
―――



「ムカつくのよ」





その言葉を思い出して歯を食い縛る。



同情?情け?…ふざけんじゃないわよ。
アンタなんかと一緒にしないで。



苛立ちからか、自然と歩く足が早まる。それはきっとあの男から早く遠ざかりたいから。















『アイツは、俺と似ている』





―――血の味が口の中に広がった。
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