牙龍−元姫−
複雑すぎる、心境に状況。
複雑に絡み合いスッキリしない人間関係。
響子を巻き込むなと言いたいが、皮肉にもその中心に居るのは響子。
その響子は、何も把握していない。アイツ等が勝手にごちゃごちゃしているだけ。しかも影で。
それ故に私が口を挟む事は出来ない。
サスペンスドラマのような不安・緊張感に包まれる心情。
思わず、のめり込んでしまうような展開。
複雑すぎるアイツ等の現状に、小声で囁いた。
「…泥沼の昼ドラみたい」
でもどちらかと言えばサスペンスドラマより複雑に入り込んだ愛情劇の昼ドラだわ。
その囁きは前の遅い車に苛立った輝が鳴らす車のクラッシュ音に掻き消され誰にも聞かれることなく散った。
(「あ。ドライブスルー発見。寄りましょう?奢ってあげる。)」
(「はぁ!?や、槍でも降るんじゃねえ?貢がせる派のお前が奢るとか天変地異の前触れだ…!」)
「(その変わりアンタが頼むのよ―――ラップで。ほら。チェケラ!)」
(「OK!楽勝だ!
“Hey you!”
―――って出来るか!ドライブスルーでラップするバカがどこにいる!)」
『(お、お客様。ご注文をどうぞ。)』