牙龍−元姫−
しかし…
此方に身体を向けた遼の手に握られているものが目に入った。
「(―――あ、)」
それに目が奪われる。
「それ…」
「あ?」
「ネックレス…」
目が奪われると同時に目を見開く。
何で?どうして持ってるの?
そんな疑問が次々に浮かび上がってくる。
…その十字架のネックレスを見て。
「、チッ」
見ては駄目だったのか遼は顔を顰めて“それ”をポケットに突っ込んだ。
「別にいいだろうが。たまたまだっつーの。どうせお前は捨ててんだから関係ねえ――――」
「捨ててないよ」
「は?」
「だから、捨ててない」
捨てるわけない、だってその十字架のネックレスは…
遼が私に買ってくれたモノだから。