牙龍−元姫−
密着する身体。遼の手が私の肌に直接触れている事実に自然と顔が赤くなる。
恥ずかしい、だけど…
温もりに安心してソッと身を預ける自分が居た。
あれほど下ろすように懇願していたが保健室に着くまで、この状態だった。
…お姫様抱っこって、抱えられる方も疲れる。
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医薬品の匂いが鼻に突く。五つあるベッドの手前から三つ目、奥からも三つ目。私は丁度真ん中辺りのベッドに座っている。
意外にも保健室はクーラーが利いていて、
入ると涼しい風が肌を冷やした。
「……」
無音。
ベッドに座り靴を脱ぎ捨て地面に付いていない足を、ぶらんぶらんと宙で前後に振る。
ぶらん、
ぶらん、
―――――つまらない。
「…ねえ、遼」
保健室に来てから遼は何も話さない。確かにココは涼しいけど私は退屈で仕方ない。
何度か遼に声を掛けるが、此方には反応を示さない。椅子に座り、ただ何かを思案している。
「…遼!」
麻痺を切らした私は遼に向かって叫んだ。
揺れていた足は急停止する。
「……んだよ」
漸く此方に顔を向けた。でも眉を寄せながら私を見てくる。
何って……遼が無視するから悪いんだよ。
どうして私がそんな顔されなければいけないの?と思った。
こんなにも涼しい保健室なのに、外に居るような気になる。