獣は禁断の果実を蝕むのか。
「どういうことですか?」
専務の言葉と同時に、みんなの視線が皆瀬さんに集まった。
「失礼いたしました。広報の方へ書類を持って行ってもらっていまして。」
「そうか…」
その一言だけ。
冷たく言い放つと、専務とあかりさんは給湯室を出て行った。
「…た…助かりました。」
半分泣きそうな顔をしながら。
ギュッと皆瀬さんに抱きついた。
「やめて。ただ、自分の保身のため。小松の正体がバレたら、私も危ないでしょ?」
私の体を引き離すと、呆れたようにため息をついた。
「すみません。」
「ホント、どこか抜けているわ。書類整理して、届けるふりをしながら会社内をうろつきなさいよ。」
「はい。」
そんなことも考えられなかった。
九重部長の件で、それだけしか頭の中が考えられなくて。