獣は禁断の果実を蝕むのか。
「な…ないですよ。」
自然と声が震える。
「エレベーターの中って、ゾクゾクするだろう?」
囁かれた耳元。
ビクッと背筋に悪寒にも似た痺れが走って行く。
「なっ…何を言っているんですか?こんな所で!!」
今にも実行しそうな九重部長の指の動きを慌てて止めた。
「知り合いって言っただろ?こんな機会でもなきゃ、この状況は味わえないと思わねえ?」
「味わう必要ないです。普段から、十分味わっているんじゃないですか?」
昼間の会社のトイレと言わんばかりに、ジッと九重部長の顔を見上げた。
九重部長はフッと鼻で笑うと
「ど真ん中な回答だね。」
スッと私の囲いを離すと、そっと肩の上に腕を回した。