獣は禁断の果実を蝕むのか。
「それは…」
どういう意味だろう?
まあ、今日はそういうことってなっているけど。
あれほど決めたはずの決心は。
専務の話をしたら、専務の顔がちらついて。
グラグラと決意を根底から揺るがす。
私の良心だ。
専務をダマして。
裏切って。
今日がその大きな最後の一歩になるって思ったら。
良心は痛まないはずがない。
そうじゃなければ、こんな胸の痛みなんか説明がつかない。
「まずは、飲むか。」
九重部長はシャンパングラスを手に取ると、ひと口。
ゴクリとシャンパンを飲んだ。