獣は禁断の果実を蝕むのか。
初めてだったかもしれない。
心の底から湧き上がるようなワーッとする楽しさ。
あんなの。
友達とも味わったことがない気がする。
「あの梓悸がね…」
たった一言。
それだけをポツリとつぶやいた。
「専務は私に秘書として、もっと勉強をして欲しいって。内密な話の時に使う…」
言いかけたと同時に
「あのガード下か。」
急に九重部長の目は驚いて丸く見開いた。
「はい。だから、私も期待に応えたいんです。」
真剣な面持ちで九重部長の顔を見た。
「おもしれえ…じゃあ、今夜は、見たこともない世界に連れてってやるよ。」
九重部長の顔は、何かを考えているようで。
フッと鼻で笑った。