獣は禁断の果実を蝕むのか。
「遅い。」
指された時計。
「すみません。」
そう言って差し出した書類の束。
パラパラと簡単にチェックを入れる。
チラッと見上げた専務の顔は、いつもと変わらず冷たいまま。
さっきの事、何とも思わないのかな。
ちょっとくらい動揺とかしてくれないかな?
なんて思ったけど、専務にとっては単なる使えない秘書ってことか。
なんか…少し寂しいにも似た感覚が胸の中に湧き上がった。
その瞬間、いきなりバシッと音をさせながら。
書類の束が私に投げつけられた。
ヒラヒラと目の前を舞う書類。
意味が分からなくて。
ぼう然とその場に立ち尽くした。
「コピーもまともに取れないのですか?」
大きなため息をつきながら、小さく首を横に振った。