獣は禁断の果実を蝕むのか。
「すみません。」
ギュッと唇を噛みしめて。
今にも溢れそうな涙をこらえた。
泣いても許されない。
軽蔑をされるって分かっているから。
座り込むと、足元に散らばった書類を1枚ずつ拾い集めた。
ふと、頭上に感じた黒い影。
見上げようとすると、専務がゆっくりとしゃがみ込んで。
私の襟元を指でチラリとめくった。
「オレの見込み違いでしたか…」
ため息まじりにつぶやくと、スッと襟元の指を引っ込めた。
「あの…何か?」
自然と震える声。
その先の罵声を覚悟できていないから。