獣は禁断の果実を蝕むのか。
「まあ、事実はどうでもいい。」
そう言いながら立ちあがり、目の前に立つと、グッと私のあごを持ち上げた。
「どうでもいい?」
それは、もう、私もいらいってこと?
専務の冷酷な真っ暗な瞳の奥。
恐怖にゴクリと喉を鳴らす。
「まあ、合成だろうからな。」
「だったら…」
近づく冷酷な瞳に、手にはじんわりと汗がにじむ。
「合成だろうと、こんなのを見せつけられて、はい、そうですか。と、流せる心のゆとりはない。」
あごを持つ専務の手に力が入る。
いつもなら…
きっとこの瞳の中の真っ黒な獣に流されていたと思う。
でも、今日は違うはずだった。