獣は禁断の果実を蝕むのか。

「そうですね。」


思わずギュッと抱きしめてしまった。


一瞬、戸惑ったように身を引いたけど。


優しく腰に手を回すと、柔らかく体を包み込んだ。


あと何日。


この腕の中の優しさに包まれていられるんだろう?


あと何回。


この温もりを求められるんだろう?


本当なら、この胸の中の温もりは、嬉しくて離れたくないものなのに。


裏切らなきゃいけないこの温もりが、ズキズキと心をえぐる様に痛めつける。


…泣けない。


私が泣くのは、間違っているから。

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