獣は禁断の果実を蝕むのか。
「まあ、私には関係ないけど…デザートの前に、トイレ行ってくるね。」
そう言いながら立ち上がった。
うつむいたまま。
小さく首を縦に振るだけだった。
言葉を発してしまったら。
抑えていたものが、うつむいた瞳からこぼれてしまいそうだったから。
そのまま動けずにいた。
もうすぐ、デザートが運ばれてくる時間になっても、皆瀬さんは戻ってこないし。
まさか、トイレで倒れている?
そっか、仕事の電話が掛かってきたとか?
急な用件とかあるから。
ボーっと1人、ワインに口をつけていた。
「デザートをお持ちしました。」
目の前に置かれたデザートのお皿より。
デザートを運んできた人の声に、ゆっくりと見上げた顔。
思わず言葉を失った。