獣は禁断の果実を蝕むのか。

「拾いなさいと言っているんです。」


冷たく棘のある言葉が頭の中に突き刺さる。


「あの…あの…」


グッと専務の顔が近づいてきて。


緊張とかじゃなくて。


理解不能なこの状況。


それに専務の冷酷な獣って噂とは違った甘い香りが、専務の体から微かに私の鼻にかかる。


その甘さが、頭をクラクラさせて。


輪をかけたように、頭が働かない。


「アナタは、言葉よりカラダじゃないと覚えられないのですか?」


メガネの奥の。


まるで、ほの暗い水の底のような瞳が、私の視線を逃がさない。


「は…はい!!」


とっさに返事をしてしまった。


だって、頭の中に浮かんだのは

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