結婚できるの?
「そうか……」


智和が溜息をこぼしたとき、ペスカトーレが運ばれて来た。

相変わらず食欲のないまま、千香はフォークにパスタを巻きつける。

今度は智和がパスタに手を付けようとしない。


「ある意味、千香さんが一番辛いのかもしれないね」

「…………」


そんなふうに言われたら、どう返せばいいのか千香は分からなかった。


「辛さにもいろいろあるけど、誰かを許せないって感情が一番辛い気がするよ」


智和が低く静かな声で言った。
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