結婚できるの?
「ありがとう。実はね、少しだけ亜里沙のことを疑ってた。亜里沙がライブに行くから、陽太は断ったのかと勘繰ったの」

「私は行かないよ。もう関係ないから」

「うん。ごめんね」

「私は過去を断ち切って、新しくスタートしたいんだもん。智和さんとも、陽太とも、関わるつもりないよ」

「よく分かったよ。この前、聞いて分かったつもりだったけど、今回のことで実感した」


千香は申し訳ない気持ちで目を伏せる。


「ライブ、観れるといいね。私はもう行けないけど、観たら感動するよ」


亜里沙の言葉が千香の心に沁みた。

すべてを諦め、すべてを赦し、すべてを認めるような、亜里沙の声だった。
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