結婚できるの?
◆ ◆ ◆

薄暗いライブハウスの後方で、千香はひっそりと陽太のステージを観ていた。

観客は総立ちで、小さなライブハウスは興奮と歓喜に包まれている。
 

ここだだけが別世界のような熱気。

そんな熱い場所にいて、千香は熱くなれなかった。

ステージに立っている陽太は、千香の知っている陽太とは別人みたいだった。

好きな場所で、好きなことをしている輝き。

そう、確かに陽太は活き活きと輝いていた。

かつては千香にも、そんな時代があったかもしれない。
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