結婚できるの?
案内された席は眺望の素晴らしい窓際で、見事な夜景が視界に飛び込んできた。

ボーイが椅子を引き、千香は促されるように腰を下ろす。


「お飲み物のご注文は、いかがなさいますか?」

「すみません、注文はもう一人が来てからにします」

「かしこまりました」


ボーイは差し出した飲み物のメニューを引っ込める。

1時間ほど前、智和から『遅れる』という連絡があった。

仕事が延びてしまい、約束の午後6時には10分くらい遅れるとのこと。

レストランは6時で予約しているため、千香は智和に頼まれるまま、先に一人で店内に入ったのだ。
< 364 / 744 >

この作品をシェア

pagetop