ふたつの背中を抱きしめた



かけがえの無い、愛しい人。

2人で歩んだ四年間。

受け止めきれない貴方の想い。

数えきれない貴方の優しさ。

そして、

2人で見た、純白の夢。


全てにさよならを。

それらを持つ資格を無くしたコトを

私は貴方に伝えなくてはならない。

罪に堕ちたコトを。

貴方以外の男(ひと)に抱かれたコトを。



「綜司さん、あのね…」


「どうしたの真陽、何かあった?お喋りなら食事をしながらしようよ、いいワイン買ってきたんだ。」

ニコニコとそう言って私の背中を押し食卓へ促す綜司さん。

背中に添えられた手の温かさに眩暈がしそうになる。

「そうじゃないの、綜司さん聞いて!」

「真陽?どうしたの?」

「綜司さん、あのね、私ね、私…!」


口が重い。

唇ってこんなに重かったっけ。

緊張しすぎて高鳴る心臓が煩い。

まるで耳元で心臓が鳴ってるみたい。

視界って、こんなに狭くて暗かったっけ。

手って、こんなに汗が出たっけ。

呼吸って、息って、
こんなに苦しかったっけ。


-----声が、出ない。



「…っ、…っひ、あ…っ!…!!」

「真陽!?真陽!!!」


床に崩れ落ちた私を、

綜司さんが緊迫に顔を引きつらせなから抱えた。


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