ふたつの背中を抱きしめた
こんな風に部屋で一緒に食事をしたり
ひとつの布団で一緒に寝たり
手をつないで一緒に帰ったり。
柊くんとするその全てが刹那で偽りで。
それが余計に柊くんの心を餓えさせる。
餓えさせて餓えさせて、禁忌を犯すまでに彼を追い詰める。
なのに彼はその偽りを求めて哀しい程に私を包もうとする。
不器用な優しさで目一杯、包もうとする。
泣きだしてしまった私に柊くんが驚いた顔をして戸惑っている。
「不味かった?ナポリタン嫌いだった?」
本気でそんな心配をしている柊くんに、私は首を横に振る。
「…じゃあ、どうして泣くんだよ。」
柊くんが膝立ちになって私の隣に来る。
俯いて涙を拭う私の顔を覗き込んで哀しそうに言った。
「なんで泣くんだよ。泣かないでよ。
俺、真陽に笑って欲しいのに。なんで泣いてばっかなんだよ。笑ってよ、真陽。」
そう言う柊くんの顔も今にも泣きだしそうだった。
「俺、分かんないんだよ。どうしたら真陽が喜んでくれるか。他人を喜ばせたいなんて思ったコトないから、そんなの分かんないんだよ。
ねえ真陽。どうしたらいい?俺、どうしたら真陽は笑ってくれるの?」
とても辛そうな目をして私に縋ってくる柊くんの顔を、私は両手で包んでキスをした。