ふたつの背中を抱きしめた


こないだと同じように、夕方の鐘がスピーカーから鳴り響くと
それを合図に綜司さんは窓の外に目を向けた。

「そろそろ帰らなくちゃ…か。」

その言葉に私は心の中でションボリする。

「…真陽。
せっかくこうしてまた仲良くなれたけど
これからはしばらく会えそうに無いんだ。」

窓に目を向けたまま突然そう言った
綜司さんの言葉に私は大きくショックを受けた。

なんで?
やっぱりさっきのコト怒ってる?
馬鹿な私に呆れちゃって
もう会いたくないのかな。

問い詰めたい気持ちを押さえ込んで冷静なフリをする。

13年ぶりに再会出来て、
こんな素敵な人に買い物やら美容室やら付き合ってもらって
もう充分じゃない。

ダメよ、真陽。
期待したりしちゃ。

私は彼女じゃないんだから。

ただの幼なじみなんだから。

心の中で一生懸命自分を納得させて
気合いで笑顔を作る。

「…そうなんだ?
残念だけど、しょうがないよね。
今まで色々と手伝ってくれてありがとう。」

「うちの会社、研修が長くてね。
2ヶ月程合宿があるんだ。だから、しばらくは会えないよ。」

…へ?

しばらくって2ヶ月だけ?

目をパチクリさせる私を
綜司さんは真面目な表情で見つめた。

「長いよね、2ヶ月って。」

「そ、そう?」

「うん、真陽と2ヶ月も会えないと思うと、凄く長いよ。」

「…えっ…?」


綜司さんの言葉に
私の胸がドキンと高鳴った。



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