ふたつの背中を抱きしめた
そして、柊くんが再びぬくもり園に行くようになっても、私達の答えは出ないままだった。
表面上は繋がりを無くしたかに見える私達に、周囲はやはりぎこちなかったけれど。
「久々に行ったら日勤が矢口さんでさー。俺怒られっぱなしだよ。」
「でも矢口さんいい人だよね。今回のコトで裏表の無い人だなって思ったよ。」
「あの人、昔からそうだよ。口煩いしおっかないけど俺あの人キライじゃない。他のヤツみたいに影でコソコソ言うよりハッキリ叱ってくれて助かるよ。」
柊くんのその言葉に私の胸が痛む。
「…柊くん大丈夫?園に居づらくない?」
今回の件で1人悪役になってしまった柊くんに対する風当たりは強いはずだ。
その痛みを2人で請け負えなかったコトに私は罪悪感を感じる。
「別に。今更何言われようと気にしないし。そんなのより真陽がいない方がよっぽどしんどいよ。」
あっけらかんと言う柊くんの強さに、私は自分が狡いと思いながらも安心してしまう。
「それよりさ、もうすぐ園の夏祭りだろ。」
柊くんが話題を変えた。私が湿っぽくなるのが嫌なんだろう。
「その日は真陽が出勤だから俺は行けないけどさ。準備はいっぱい手伝うから、俺の分まで真陽は子供と遊んでやれよ。」
「うん、今まで園に来た子たち、いっぱい来るもんね。…柊くんもみんなに会いたかったよね、ゴメンね。」
「だーかーらー、謝るなってば!俺の代わりに真陽が会ってくれればいいから!その代わり、後でどうだったか聞かせろよ。」
どうも私は湿っぽくなっちゃってダメだなぁ。
せっかく柊くんが明るくしようとしてくれてるのに。
「分かった。子供達の写メも撮ってくるね。楽しみにしてて。」
「真陽の法被姿の写メもな。」
「それは無い。」
「ケチー。」
電話の向こうで、柊くんが唇を尖らせる姿が目に浮かんぶ。
振り返った先にある三日後の夏祭りに丸印が着いたカレンダーを見て、私は1人頬をゆるませた。