ふたつの背中を抱きしめた



私は、汗ばむ柊くんの顔を撫でながら言った。


「…あの招待状の女の子って、私?」

柊くんは驚いたような表情で私の顔を見た。

「なんだよ、急に。」

ふふっと小さく笑って私はもう1度、柊くんの顔を撫でる。

「だって、嬉しかったんだもん。」

柊くんはそんな私を見つめて唇を重ねてから耳元で囁いた。

「そうだよ、真陽だよ。俺の大好きな女の子を描いたの。」

「でもヘタッピだね。」

「うるさい。」

ちょっと拗ねた顔をした柊くんの頭を、私はその硬い黒髪ごと腕に抱きしめた。

「後で、お祭りの写メ見せてあげるね。子供達の写真いっぱい撮ったから。あと…」

「…真陽、今日ずいぶんお喋りだな。」

「だって、嬉しいんだもん。」

私のその言葉に、柊くんは珍しく照れた顔をして

「…分かったから、今は黙って。」

と言って、唇で私の口を塞いだ。



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